読書

職場が変わり、ブログを書く気持ちになれないまま、いつの間にか2年が過ぎていた。今年の4月、元の職場に戻ったものの、今度は立場が変わってしまい、相変わらず余裕のない生活を送っている。余裕のなさは、読書量にあらわれている。昔はあれだけ読んでい…

描かれた戦国の京都

京都文化博物館で展覧会「京を描く−洛中洛外図の時代−」を見てから、洛中洛外図の時代的な変遷を大まかにつかみたいと思って読書。描かれた戦国の京都―洛中洛外図屏風を読む作者: 小島道裕出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 2009/09/01メディア: 単行本 ク…

東京読書

昨日読み終えたのは、東京読書―少々造園的心情による作者: 坂崎重盛出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2008/01/31メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 19回この商品を含むブログ (16件) を見る新旧取り混ぜながら100冊ぐらいの江戸東京本が紹介されていて…

『日本映画 隠れた名作』

日本映画 隠れた名作 - 昭和30年代前後 (中公選書)作者: 川本三郎,筒井清忠出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/07/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る本書は、川本三郎、筒井清忠による対談集。昭和30年代前後の映画館に日常的に…

まぼろしの著作

山口昌男 エノケンと菊谷栄 読了。エノケンと菊谷栄作者: 山口昌男出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2015/01/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る本書の企画が最初に筑摩書房に出されたのが、1983年。きっかけは、NHKFMラジオに出…

民俗学のこれまでとこれから

福田アジオ 民俗学のこれまでとこれから のうち、興味のあった「図像資料と民俗学」の章を読了。民俗学のこれまでとこれから作者: 福田アジオ出版社/メーカー: 岩田書院発売日: 2014/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見る福田氏は最近の民俗学が、…

自己中心の文学

昨年春の異動により、宇和から松山に引っ越した。仕事の内容も大きく変わり、心の余裕も失っていた。状況は今もあまり変わらないが、細々と書いていきたい。読んでいた青木正美 自己中心の文学からメモ。自己中心の文学―日記が語る明治・大正・昭和作者: 青…

武士と料理

磯田道史氏のベストセラー武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)が映画化された時には、地味な歴史研究が映画として成立するのかと思った。映画の紹介に異色時代劇の文字が使われた理由もそのあたりにあるのだろう。そして、「武士の献立」…

「曽良旅日記」を読む

金森敦子 「曽良旅日記」を読む: もうひとつの『おくのほそ道』 読了。有名な芭蕉の「おくのほそみち」の旅。その旅の随行者、曽良が書き遺した旅日記から奥の細道紀行の実像を探ろうというもの。芭蕉の「おくのほそみち」が、文学的な虚構を孕んだフィクショ…

国史大辞典を予約した人々

佐滝剛弘『国史大辞典を予約した人々』を読了。国史大辞典を予約した人々: 百年の星霜を経た本をめぐる物語作者: 佐滝剛弘出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2013/06/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る歴史に関する調べものに重宝する『…

新しい視点からの赤穂浪士像

年末に購入した山本博文 「忠臣蔵」の決算書 を幸先よく読み終わる。「忠臣蔵」の決算書 ((新潮新書))作者: 山本博文出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/11/01メディア: 新書 クリック: 7回この商品を含むブログ (6件) を見る天の邪鬼の人間なので、これま…

原点の本

鈴木俊幸 蔦屋重三郎 読了。蔦屋重三郎 (平凡社ライブラリー)作者: 鈴木俊幸出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/02/10メディア: 単行本この商品を含むブログを見る本書(平凡社ライブラリー版)は、若草書房から1998年に刊行された本に、いくつかの補…

「ごりょんさん」の日記

荒木康代 大阪船場おかみの才覚 を読了。大阪船場 おかみの才覚 (平凡社新書)作者: 荒木康代出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2011/12/15メディア: 新書 クリック: 6回この商品を含むブログ (5件) を見るタイトルだけ見ると読みそうもない本だが、サブタイト…

文化の伝播者としての旅人

石川英輔 泉光院江戸旅日記 山伏が見た江戸期諸民のくらし 読了。大江戸泉光院旅日記 (講談社文庫)作者: 石川英輔出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/05/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る日向佐土原の修験野田泉…

『手前味噌』と『染太夫一代記』

赤坂治績 江戸歌舞伎役者の〈食乱〉日記 読了江戸歌舞伎役者の“食乱”日記 (新潮新書)作者: 赤坂治績出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/12/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 2回この商品を含むブログ (10件) を見る作者の肩書きは演劇評論家、江戸文…

ゆるさがうらやましい?

氏家幹人 旗本御家人 驚きの幕臣社会の真実 読了旗本御家人 (歴史新書y)作者: 氏家幹人出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2011/10/06メディア: 新書購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見る本書は著者の言葉を借りると、「『醇堂叢稿』を中…

名古屋の底力

東京出張のお供本は、青木健『江戸尾張文人交流録』であった。江戸尾張文人交流録 ―芭蕉・宣長・馬琴・北斎・一九― (ゆまに学芸選書ULULA3)作者: 青木健出版社/メーカー: ゆまに書房発売日: 2011/09/08メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブ…

ドラマの復習

関川夏央 四季、最後の八年 読了子規、最後の八年作者: 関川夏央出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/04/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (11件) を見る子規が病床につく明治28年から明治35年の死まで、最後の8年間を…

昭和初期の警句

池内紀 文学フシギ帖 読書中。文学フシギ帖――日本の文学百年を読む (岩波新書)作者: 池内紀出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/07/22メディア: 新書 クリック: 13回この商品を含むブログ (11件) を見るこの本は著者が『北海道新聞』に平成18年1月から…

江戸社会のタテマエとホンネ

妻鹿淳子 武家に嫁いだ女性の手紙 読了。武家に嫁いだ女性の手紙: 貧乏旗本の江戸暮らし作者: 妻鹿淳子出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 2011/08/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る美作国勝南郡岡村(現岡山県…

江戸庶民の空気

青木美智男 深読み 浮世風呂 読了深読み浮世風呂作者: 青木美智男出版社/メーカー: 小学館発売日: 2003/11メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 12回この商品を含むブログ (2件) を見る発売以来、本屋の本棚で何度も手にとりながら、ぱらぱらめくってまた本…

下級武士の次男、三男の行方

加藤淳子「下級武士の米日記」読了。下級武士の米日記?桑名・柏崎の仕事と暮らし (平凡社新書)作者: 加藤淳子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2011/06/16メディア: 新書購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る伊勢桑名藩は、遠く離れた越…

絵の力

坂崎重盛「絵のある」岩波文庫への招待 読了。「絵のある」岩波文庫への招待作者: 坂崎重盛出版社/メーカー: 芸術新聞社発売日: 2011/02/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 44回この商品を含むブログ (17件) を見る 岩波文庫って、カタイようなイメージが…

小津映画と成瀬映画

昭和20〜30年代の映画のことを書いた本を読むのは好きでいろいろ読んできたが、映画そのものを観たことはほとんどなかった。地方に住んでいると地元で古い映画が上映されることなどほとんどないし、テレビも地上波では新しい映画ばっかり。しょうがない…

和宮ゆかりの雛かざり

先日、国立歴史民俗博物館の『和宮ゆかりの雛かざり』から岩淵論考を紹介したが、それ以外の部分も読んでみて興味深かった点をメモしておきたい。まず国立歴史民俗博物館の和宮ゆかりの雛かざりの伝来について。ごあいさつの部分には、「和宮逝去ののち、徳川…

源頼朝の顔

黒田日出男『源頼朝の真像』を読了。源頼朝の真像 (角川選書)作者: 黒田 日出男出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版発売日: 2011/04/25メディア: 単行本 クリック: 47回この商品を含むブログ (8件) を見る神護寺蔵の国宝伝源頼朝像。源頼朝というと、そ…

際物としての雛人形

岩淵令治「江戸の雛市−「際物」を見る・売る・買う−」(『和宮ゆかりの雛かざり』国立歴史民俗博物館、2011年)を読了。現在、桃の節句が近づくと、各地でおひなさま絡みのイベントがにぎやかに行われている。この季節に雛人形を展示する博物館もかなり…

無名な人々の裾野

板坂耀子『江戸の紀行文』読了。江戸の紀行文―泰平の世の旅人たち (中公新書)作者: 板坂耀子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (12件) を見る著者はこの本を通じて伝えたいことを…

『東京パック』の編集者

高島真 追跡『東京パック』 を読了。 [rakuten:book:10948548:detail] 明治38年に北沢楽天が創刊した『東京パック』は有名であるが、楽天が辞めた後にも第二次、第三次、第四次と昭和16年まで発行が続けられていた。本書はそのうちの大正期の第三次、昭…

挿絵画家と作家

中村嘉人 大衆の心に生きた昭和の画家たち (PHP新書) には、中里介山著の長編小説『大菩薩峠』のさし絵を描いた石井鶴三について、次のように記している。 石井は明治二十(一八八七)年、東京生まれ。東京美術学校彫刻科専科卒。彫刻や版画で旺盛な創作活動…