本間游清の名品随筆

塩村耕氏のこんな本があった!江戸珍奇本の世界

こんな本があった!江戸珍奇本の世界

こんな本があった!江戸珍奇本の世界

を読んでいたら、
伊予吉田藩藩医で、
村田春海門歌人国学者としても知られる
本間游清の随筆『蜘のふるまひ』が紹介されていた。


塩村氏によると、
江戸時代の国学者の文章は総じてひどいらしい。
偏狭な国家主義の考え方もさることながら、
彼らの用いた擬古文は実感がともなわず、
つまらないものが多い。
岩瀬文庫の全資料閲覧に取り組んでいる
塩村氏にとって時間のロスに感じられるらしい。


確かに資料整理の中で、
こうした擬古文の典籍に行き当たることもあるが、
若い頃の自分は、
自分に教養がないから読みこなせないのだと思っていた。
でも、このように率直に書かれると、
何か胸につかえていたものがとれたような…


それはさておき、
国学者にはつまらない文章が多い中で、
本間游清の文章は一味違うらしい。
描写が写生的で美しく、
しかもその背景にある人間観にも
好ましいものが感じられるとのこと。
『蜘のふるまひ』は、
文政12(1829)年の江戸の大火で焼け出された
游清が江戸近郊白銀村本妙寺門前に移住した際の
身辺雑事を記した随筆。
江戸市中と雰囲気の違う山里の自然や、
朝起きてすぐに自然の中に飛び出す子どもの様子が、
みずみずしい文章で描写されている。
確かにこんな文章ならもう少し読んでもいいかなと思えてくる。
そういえば、
本間游清の本を1冊もっていたなと本棚をあさるが出てこない。
でもあれは随筆でなく、歌集だったかも。