展覧会のはしご
昼過ぎから道後で会合があるため、朝早くからバスで松山へ。少し早めに行って、残りを自由時間にという作戦。まずは愛媛県美術館で「出光美術館所蔵 文人画名品展」を観覧。
美術館の解説によると、文人画とは「官界や世間に対して違和感を抱く文人が、現実を離れて理想郷を胸中に思い描き、「自娯」のため、自ら楽しむために制作したもの」とのこと。なんだか俗世の時間に追われて生きる身としては、絵をみているとほんと心が洗われるような。入口の重要文化財の池大雅「十二カ月離合山水図屏風」から心地よく見ていく。堅い作品ばかりかとみていくと、さにあらず。仙崖の百寿老を描いたものなんてゆるくて、なんともかわいらしい。
地元に関係した作品としては、田能村竹田の「三津浜図」と明治末期に伊予松前城跡から出土した「青白磁刻花渦文梅瓶」が展示されている。「三津浜図」は三津浜の酒造家、松田渙卿(号酔樵)の需めにより制作されたもの。松田渙卿は、自らの別邸九霞楼を中心に三津浜の景勝を説明した「九霞楼図」を作成して著名な文人に送り、詩文にすることを依頼した。三津浜は松山の玄関口なので、多くの文人の行き来もあったのだろう。松田渙卿の文化ネットワークがどのようなものであったのか、興味惹かれるところ。「青白磁刻花渦文梅瓶」については、明治41(1908)年に松前城跡から出土していることが箱書されている。梅瓶とは酒を入れる容器で、中国では梅枝を入れて鑑賞するのにふさわしい形の壷なので、その名前が付いているとのこと。松前では明治末に耕地整理により、二の丸跡から高麗青磁(中国産青磁)の破片がたくさん出土していたという。こうした完形の青磁が出光美術館に入っていること、全く知らなかったので勉強になった。
その後、図書館にまわり4冊借り出す。
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午後から道後で会合。思ったよりも時間がかかってようやく終了。その後、閉館少し前に子規記念博物館にすべり込み、「水野広徳 軍服を脱いだ平和主義者」を観覧。当時の軍人に水野のような、日米戦争における日本軍の苦戦や東京の大空襲などを見通していた人間がいたことに少しほっとする。日露戦争後の戦史編纂などの仕事が彼のそうした目を磨いたのだろうか。展示史料は子規記念博物館の所蔵品が中心で、水野広徳の史料が同館に寄贈された経緯は下記のHPに詳しく記されている。
http://www.mizuno-museum.or.jp/kenshou.html