硬派な歴史系雑誌

インターネットの日本の古本屋により取り寄せた
『古文幻想』第8号(古文幻想会、1990年)が届く。
日本の古本屋は、
クレジット決済ができるようになったので試してみる。
振り込みに行く手間もなく快適。
と言っても、本を次々に買わないように注意、注意。


『古文幻想』第8号は、
弘前藩儒学者伊東梅軒の特集号。
嘉永5(1852)年に吉田松陰は、
萩藩と脱藩して、東北旅行を行っている。
この時に吉田松陰は、熊本藩宮部鼎蔵とともに、
弘前城追手門近くの元長町に住んでいた
伊東梅軒のもとを訪ねている。
弘前藩の海防をめぐる三人の話しは盛り上がっている。
ところで、
伊東梅軒は吉田松陰に会う以前に、
弘化元(1844)年に大坂の篠崎小竹に入門し、
その翌年から四国・九州方面に旅をしている。
梅軒はその際に伊予にも立ち寄っているが、
その時の様子を知りたいと思ったのが、この雑誌を購入した動機であった。
そのことについてはいずれ改めて書きたい。


それにしても、
「古文書と歴史を学ぶ」というキャッチが付いた
『古文幻想』という雑誌があったことを全く知らなかった。
編集後記には
定期刊行物でなく、出せる時に出すという気侭な本誌とあるが、
何号まで出たのであろうか。
大河ドラマが始まると、
歴史系の雑誌はみんなその特集になってしまうが、
そういうものにはどうも興味がもてない。
現在、このような硬派な歴史系雑誌が出ていないことは、
少数派にとっては寂しい。