将軍徳川家定の奇癖

大河ドラマ篤姫の初回見てみました。
大河ドラマ見なくなって久しいのですが、
家族が見ていたのでなんとなくながめていました。
まだ始まったばかりで、何も言うこともありませんが、
登場人物の中で、堺雅人さんが演じている徳川家定について気になりました。
そういえば近年の大河ドラマ新選組だけは何とか見ましたが、
堺さんは山南敬助というかっこいい役だったのが、
今回家定という少しバカっぽい役を
短い時間しか出てませんでしたが、楽しそうに演じられていました。


篤姫が結婚する徳川13代将軍の家定という人物、
一説には脳性麻痺だったともいわれているそうですが、
現在ちょうど読んでいる野口武彦 幕末の毒舌家に、
家定が登場しました。
ちなみに、毒舌家とは社会の裏情報に滅法詳しかった
貧乏旗本の大谷木醇堂のこと。
醇堂は家定について次のように書き記しています。


家定公は疳が強くてお首をお振りになること、
恐れながらまことに見苦しいほどであった。
しかし、家定公が謡曲を舞われる時には、
少しもそのご様子は見られなかった。


また、安政4年、大統領の国書を手交するため
江戸城に登城したアメリ使節のハリスは、
将軍家定の印象を『日本滞在記』に書いています。


私は、言葉を止めて、そして頭を下げた。
短い沈黙ののち、大君は自分の頭を、
その左肩をこえて、後方へぐっと反らしはじめた。
同時に右足をふみ鳴らした。
これが三、四回くりかえされた。
それから彼は、よく聞こえる、気持のよい、しっかりとした声で、
次のような意味のことをいった。
「遠方の国から、使節をもって送られた書翰に満足する。
 同じく、使節の口上に満足する。両国の交際は、永久につづくであろう」(坂田精一氏訳)


家定は緊張する場面になると、
ストレスから首をがくんとのけぞらせる奇癖があったそうです。
しかし、自分が好きな謡曲を舞い始めると、
動作がなめらかになって普通と変わらなかったようです。
また、奇癖はありつつも、ハリスに対する応対も堂々としたもの。
この家定を堺さんがどう演じるのか、興味深いところです。