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先日地元の図書館から2冊の本を借り出した。
そのうちの1冊が、
熊倉功夫編 遊芸文化と伝統だった。
- 作者: 熊倉功夫
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2003/02
- メディア: 単行本
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お目当てはそのうちの一つの論文。
氏家幹人「嘉永四年、妻からの手紙−『川路高子日記』をよむ−」。
私は宇和島藩士の三浦家文書をずっと研究しているが、
なかでも、参勤交代で江戸に行った当主と
宇和島に残された家族とが交わした手紙に興味をもっている。
氏家氏が論文で取り上げた『川路高子日記』は、
奈良奉行であった川路聖謨(としあきら)が江戸に召還されて、
不在の時に妻が書いた日記である。
そこには参勤交代で当主が留守の時に、
家族が書いた三浦家文書の手紙に何か重なるものを感じる。
川路家では聖謨が不在時、
聖謨の日記と高子の日記があたかも交換日記となり、
手紙以上の手紙としての役割を果たしていたそうである。
そして、その日記は読み聞かせ、家族みんなで楽しむ日記。
そういわれてみると、
三浦家の手紙にも詳しくは別添の日記を見よなどとあるのも、
川路家の日記と性格が非常に似ている。
なお、氏家氏には
川路聖謨とその家族を取り上げた本として
江戸奇人伝 旗本・川路家の人びと がある。
- 作者: 氏家幹人
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: 新書
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優秀な旗本川路の公人としての業績には触れず、
ひたすら日記に満載された家族の身辺雑事的人間模様に固執した
と記している。
固執しただけに、江戸時代の一つの家族の姿が、
まるでホームドラマを見るようにあざやかによみがえっている。
無名な人間の日常を、
一人一人の登場人物がくっきりと像を結ぶように描き出すこと。
そんな緻密な記述は三浦家でも可能であろうか。