今日は
森まゆみさんの
明治快女伝―わたしはわたしよ

わたしはわたしよ 明治快女伝 (文春文庫)

わたしはわたしよ 明治快女伝 (文春文庫)

のあとがきから。


一方、私はわが国の女性伝記の貧しさを思う。
それは多くの場合、
他の仕事を続けながら、
あるいは家事と育児を背負いながら、
資料代、取材費を自らの財布から捻出する
女性たちによって苦しいなかで書かれている。


わたしも歴史の研究をしているので、
しっかりとした伝記を書くのに、
どれほど大量の資料にあたらなければならないか
容易に想像がつきます。
でもどんなにしっかり調べて書いても、
資料代につかった経費ほど、本が売れずに赤字になることも。
確か最近黒岩比佐子さんがブログにそう書かれていました。
しっかりとした伝記をつくるという地道ながらも、
大切な仕事が真っ当に評価されないのだとしたらとても悲しいことです。
森さんは伝記という手間のかかる仕事に、
もっと財団や地方自治体が研究費を出してもよいのではないかと記していますが、
すぐにお金に結びつかない研究は現在かえって切られていっているように思います。
こんなことでこの国の文化はどうなってしまうのかとても心配です。