読書欄チェック

昨日の朝日新聞の読書欄を見ていると、
気になるマンガと本があったので、忘れないようにメモ。

こうの史代 この世界の片隅に


昭和18年から21年にかけての広島の呉を舞台に、
そこで暮らす女性のごく普通の生きざまを描いたもの。
著者は4年もの歳月をかけて
生活風景のひとつひとつを積み上げて、
ついに物語は昭和21年にまでたどりつく。
日常が変貌し、蹂躙されていくさまが、
等身大に実感される。
一見地味な細かい展開は、
そんな大きな構想の下に描かれ、
読者に深い印象を与える。
当時の暮らしがどこまで
細かくビジュアルに描かれているのか、
気になるところ。


松沢裕作 明治地方自治体制の起源


徳川時代の村が、
近代の行政区画としての村へと、
いかにして変わったのか。
地方の古文書から官僚の手稿まで、
広い史料収集に基づいた研究。
徳川末期には、
商品経済で稼いだ金を、
現地の貧困者の救済に使うことで、
村役人の権威を保っていた。
近代になると、
鉄道や道路など地元への利益誘導で、
秩序の維持をはかろうとする、
名望家支配と利益政治が始まる。
現代の地方にもつながる視点をもつ本に思える。