成功者よりも失敗者

娘の卒業式。
今はホタルの光って歌わないんですね。
卒業生入場も後ろから来るのかと思って、
後ろ気にしていたら、前のステージから登場。
随分様変わりしたものです。


色川武大 なつかしい芸人たち 読了。

なつかしい芸人たち (新潮文庫)

なつかしい芸人たち (新潮文庫)

子どもの頃、色川武大はまったく世間とかみあわないで、
自分の未来というものがつかめなかった。
それで世間を見渡して自分と同じにおいのする
社会からおちこぼれて窮々としているダメ人間の番付をつくる。
この本はそのダメ番付からいろいろな人物を取り上げている。
喜劇人が多く、
なかには成功者も取り上げられているが、
世間からとりのこされてしまった人物の描写の方がやっぱり印象に残る。
世代が大きく違うので知らない人がほとんどだが、
その人物のつまずき方までもが魅力的に感じられる。


ほぼ同じ時期に、
高島俊男 天下の記者 「奇人」山田一郎とその時代 も読了した。

こちらも東大卒でありながらも、
世間から大きくはずれていき、
定職につかずに流浪していった山田一郎の人物伝。
成功者の自慢話は鼻白むが、
失敗者の失敗談にはどれも面白い。
まわりがうまくお膳だてしてくれているのに、
すべてぶちこわしていく山田一郎。
エリート意識でがんじがらめになって、
エリートの友人をはために、奇人を演じざるをなかった感もある。
世間的には迷惑な人だったかもしれないが、
自分の奥底にも眠る小心さ、臆病さ、偏屈さをさらけだした愛すべき人物である。