江戸の読書熱

新聞広告をみて、これは即買いだろうと思って
インターネットで注文した本が届きました。

鈴木俊幸 江戸の読書

江戸の読書熱―自学する読者と書籍流通 (平凡社選書 227)

江戸の読書熱―自学する読者と書籍流通 (平凡社選書 227)


近年、歴史学の分野では、
読書の社会史ともいえる研究の流れがあるように思います。
例えば、横田冬彦氏は「益軒本の読者」(『貝原益軒平凡社、1996年)、
「近世民衆社会における知的読書の成立」(『江戸の思想』五、ぺりかん社、1997年)において、
元禄享保期の大坂周辺村落・在郷町の庄屋層など上層農民に
数百冊の蔵書をもつ家が珍しくないこと、
その内容は多彩であり一部専門的な内容をもつなど
単なる識字レベルでなく「知的読書」としてのレベルをもっていること、
本は積極的に貸借されており、
その背後にさらに広範な読書人口を想定できることなどを明らかにされています。
さらに「近世村落社会における〈知〉の問題」(『ヒストリア』159号、1998年)では、
近世社会が在村においても医学的知を含む
高度な知的能力をもつような社会であったことを指摘しています。
このように歴史学で研究が進みつつある本の受け手たる読者に視点をおいて、
国文学の研究者が著述するとどうなるのか、
ずっと気にかかっていただけに自分にとってタイムリーな文献になりました。


そういえばと思って家の本棚をごぞごぞあさると、
買ったままで忘れていた
長友千代治 江戸時代の図書流通 

江戸時代の図書流通 (仏教大学鷹陵文化叢書)

江戸時代の図書流通 (仏教大学鷹陵文化叢書)

も出てきました。
この2冊、しばらく読んでみようと思います。