吉田初三郎が描いた名料亭
仕事がいよいよ佳境。
夜遅くまで仕事をして、帰ってサッカーのワールドカップみながら食事。
そして疲れ果てて寝るという日々が続きます。
本を読む時間は全くなし。
心がかさついてきます。
ところで、
最近、吉田初三郎の鳥瞰図をまとめてみる機会がありました。
初三郎というと鳥の目の高さから日本全国の名所を自由自在に描き、
その描いた鳥瞰図の数は1600種以上といわれています。
それだけ日本の名所を描きづくしたということで、
「大正の広重」ともいわれる人物。
現在商業美術の先駆者としても再評価が進んでいる模様です。
その作品のエッセンスを知るには、
別冊太陽 吉田初三郎のパノラマ地図が便利です。
吉田初三郎のパノラマ地図―大正・昭和の鳥瞰図絵師 (別冊太陽)
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それら初三郎の鳥瞰図のなかで、
私が面白いなと思ったのは旅館図とされるジャンル。
初三郎の盟友で、観光地としての別府温泉を全国に宣伝した
油屋熊八の亀の井ホテルの鳥瞰図などが有名ですが、
それ以外にも日本全国のいろいろな旅館が鳥瞰図に仕立てられています。
そうした旅館図の1枚に、「南唯一の精遊境得月楼御案内」(昭和3年秋)があります。
これは高知の一大料亭、得月楼を描いたもの。
得月楼は画面の中央にどっしりと描かれ、
高知城は画面の右隅に小さく追いやられ、形無しといった感の鳥瞰図です。
この得月楼、調べてみると、現在でもそのまま営業しているんですね。
得月楼のホームページ http://www.tokugetsu.co.jp/top.html
宮尾登美子の小説『陽暉楼』の舞台となった老舗料亭だそうで、
そうなると小説も読みたくなります。
初三郎が描いた名旅館、名料亭の現在を訪ね歩く、
それもなかなか楽しそうです。