「洲崎パラダイス 赤信号」

rekisinojyubako2006-05-22

久々の休日。
朝新聞を読んでいると、
松山で「復活!名画座」という催しで、
邦画の古いものが上映されているという記事を発見。
仕事つづきで、くさくさしていたので、
急に思い立って松山まで出かける。


昼食後、会場のシネマルナティック湊町へ。
シネマルナティック湊町は松山劇場という古くからの劇場のなか。
入口には昔なつかしい手書きの映画看板が…


この映画看板を描いたのは、
昭和30年代に新居浜東映で映画看板を描いていた沼田博美さんによるもの。
これから映画を観るぞーという気持ちが高まります。
「復活!名画座」では現在は「川島雄三特集」。
観たのは「幕末太陽傳」ではなく、こちらの方。

「洲崎パラダイス 赤信号」は、
川本三郎さんの『銀幕の東京』を読んで、
以前から観たいと思っていた映画。
映画の昭和雑貨店の方から川本三郎さんの解説を引用すると、
以下のとおり。


新珠三千代三橋達也の風来坊のふたりがある日、
勝鬨橋のたもとからバスに乗り、
洲崎弁天町にやって来る。
〝洲崎パラダイス〟とネオンのある入り口近く、
轟夕起子がやっている飲み屋に住みつく。
この町は、そういう流れ者たちを、
過去を問わずに受け入れる町である。
当時の洲崎で撮影されていて、
ドブ川のような堀割、埋立地、芝居小屋、飲食店街と
東京湾近くの場末の雰囲気がよく出ている。
埋立地に向うゴミのトラックがひっきりなしに
砂埃を立てて町なかを走っているのもあの時代ならではの光景。
新珠三千代がいつも和服で下駄なのが艶っぽい。


戦後の洲崎遊廓、洲崎パラダイスを舞台にしたこの映画の公開年は昭和32年。
都電、ボンネットバス、芝居小屋など今では見られない東京の風景がそこにあります。
昭和30年代初めなので、家の中に家電製品ではせいぜいラジオがあるぐらい。
轟夕起子の飲み屋は、氷で冷やす冷蔵庫を使っています。
これは木製で、内側がトタン貼りで間に断熱材が入っていたもの。
上に氷を入れると、氷の冷気がおりて下の食べ物を冷やします。
氷は毎日、氷屋さんがリヤカーで家まで配達。
映画には氷を切るシーンはありませんでしたが、
大きな鋏のようなもので氷をはさみ、
冷蔵庫に入れるシーンはちゃんとありました。
冷蔵庫にはビール瓶が入っていて、
日中そこから取り出したビールが、
なんとなくほどよい冷たさに見えて、おいしそうでした。


映画の後は本屋めぐり。
本屋で面白そうな新刊を物色。
あれも欲しい、これも欲しいが、読む暇なし。
それから新古書店にも。
そこで映画の余熱でその原作を含めて3冊購入。


芝木好子 洲崎パラダイス

洲崎パラダイス (集英社文庫)

洲崎パラダイス (集英社文庫)

佐多稲子 夏の栞−中野重治をおくる−
夏の栞―中野重治をおくる (新潮文庫)

夏の栞―中野重治をおくる (新潮文庫)

小林勇 一本の道
一本の道

一本の道


佐多稲子の本も買う一方で、
積読本が随分たまってきました。