国立博物館の値上げ

ようやく今日から4連休。
なのに仕事が終わらず、今日も出勤。
ゴールデンウィークの家族サービス、ゼロです。


そういえば、
昨日5月4日付の読売新聞に、
国立博物館 財政難で3館値上げの記事がでていました。
これは国立博物館が10月から
東京、京都、奈良の3館で、常設展示料金を値上げするというもの。
独立行政法人になって5年、
今年度からの中期計画で自己収入の目標額(ノルマ)が引き上げられ、
財政が厳しいという状況からの値上げだそうです。
03年度を例にとると、
予算は運営交付金の約51億円2800万円と、
自己収入のノルマ5億7400万円などを足した57億4100万円。
結果はノルマを大幅に超えた9億5700万円の自己収入があり、
純利益は2億9300万円にのぼった。
ところが、5年を節目に新たな中期計画がつくられ、
初年度のノルマが一挙に10億4600万円に。
法人本部では、数十万人を見込める大型展が当面なく、
ノルマ達成は危ういと判断。
このままでは「文化財の購入や修理、展覧会経費などの
質的な事業費を半減せざるをえない」として、値上げを決めた。


記事のあらましは以上のようなもの。
約51億円余りの運営交付金が国からでている以上、
純利益が2億といっても少し腑に落ちないような…
それはさておき、どうしてこういう方向にいくのか納得いきません。
記事によると、独法の特色の一つは経営努力で得た利益は、
「目的積立金」として自由に使われることが認められていたはずなのに、
03年度の入場料収入の利益約1億円について、
財務省は前年度の額を下回ったなど難癖つけて、
積立金に認めなかったという。
財務省はなにがなんでもお金をすいあげることしか考えていない。
一方、文化庁は、今回の値上げの方針に対して、
「多くの国民に、安い料金で文化財鑑賞の機会を提供するのが法人の使命。
 値上げだけではなく、割引などの他の代替措置も検討してほしい」
と、こちらはすっかりきれいごと。
じゃあ、このままだと修復などにお金がまわせない状況について、
文化庁はどうすればいいというのでしょうか。
いずれにしてもノルマを達成すればするほど、
さらに高いノルマが課せられてゆく仕組み。
これでは資料購入や修復といった地道な面にはお金がまわらないでしょうし、
展示も人数が計算できるものしかできないでしょう。
人が押し寄せ、落ち着いて観覧できないような展示。
これが理想の展示とでもいうのでしょうか。
以前獅子文六がちんちん電車のなかで、
空いているということをタテにとって、
路面電車廃止がさけばれているが、
ラクに坐れるということが、
文化国家の交通機関の条件ではないかと記していることが紹介しましたが、
この国は文化国家であることを今手放そうとしています。