さて、昨日は、
お姫様に蘇鉄の冬越しを頼まれた三浦義信の話しを書きましたが、
じゃあなぜお姫様が蘇鉄なんかを持っているのか。
調べてみると、
蘇鉄も江戸時代後期の流行の金生樹(カネノナルキ)だったんですね。
蘇鉄について青木宏一郎さんの江戸のガーデニング (コロナ・ブックス)には次のように書いてあります。


ソテツが自生しているのは九州南部や沖縄であるが、
関東地方以南であれば簡単に栽培できる。
本来は南方の植物であったソテツが江戸で植栽され、
人気を得たのは、
人々の間に異国情緒への憧れがあったからだろう。
…(中略)…
金生樹としてのソテツは鉢植で鑑賞するため
矮性品(シシソテツ、獅子蘇鉄)が用いられた。
…(中略)…
江戸時代、特に天保年間(1830〜44)には
正月に飾るおめでたい樹として人気があった。
『金生樹譜』(長生舎主人)には
フクジュソウ、オモト、タチバナの図解を載せ、
新年を祝う、めでたさこの上ない植物と説明されている。
このソテツ、きれいな赤い実をつけるが
江戸時代には鑑賞の対象はもっぱら葉で、
斑(ふ)入りや葉の形のおもしろいものが対象となった。


青木さんの本には、
天保年間の正月に飾るおめでたい樹として人気があった、
とあるので、
お姫様の蘇鉄の鉢植えは
正月に飾られるため育てられていたものと考えられます。
そうなると、やっぱり責任重大な仕事といえます。