京の雛めぐり

今日は一日フリー。
京都の町を歩くことに。
ちょうど現在京都では
京の雛めぐりが開催中。
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/hina/hinameguri.html
九州ではこの季節、
日田をはじめいろいろなところで、
おひなさまを展示。
ツアーの誘致など仕掛けていますが、
本場京都の巻き返しというところでしょうか。
一日バス乗車券を買い、雛めぐりのスタート。


まずは9時30分からオープンしている
京都国立博物館から。
運のいいことに京都国立博物館は無料開放デー。
1階の展示室は早歩き、立ち止まらずにながめて歩き、
2階の特集陳列「雛まつりとお人形」の会場へ。
http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html
重要文化財の絵をバックにお人形がならぶと、
単にケースにならべるだけではでない雰囲気がでます。
寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、古今雛、有職雛と、
雛人形のあらゆる種類の優品が揃っており、
雛人形の移り変わりが追えるのはやはり国立の底力。
なかでも有職立雛は気品高く、立雛は少ないだけに目をひきます。
(パンフには有職立雛、hpでは親王雛とあります)
おひなさまの飾り方の東西を比較する展示もありました。
東の江戸は派手な五〜七段の段かざり、
西の京大阪は御殿を最上段に二〜三段で
おくどさん(台所道具)や調理道具がつくという違いですね。
そのコーナーに展示していた大きなおくどさんがついた
天保期の御殿飾りは以前にも見たことがありますが、
もう一点明治初期の御殿飾りは初めて見るものでした。
渡り廊下と式台が付いた立派なものです。
そして、二つの御殿飾りはいずれも
おひなさま以外に五人官女、稚児が御殿にならび、
御殿の下には随身、侍がならんでいます。
これが京都の御殿飾りのスタンダードな構成のようです。
以前見た時には面白い衣裳人形がいろいろ展示されていたように思いますが、
今回は少な目なような気がします。
それでも能楽の「高砂」をテーマにした衣裳人形は、
2人のシテ、3人のワキに、5人の囃子がついた大振りなもの。
みごたえがありました。


次に行ったのは宝鏡寺
「春の人形展 雛と寺宝展」。
宝鏡寺に行くのは二年ふり、二回目です。
ガイドがつくのですが、
江戸時代の名所には必ず案内人がついたのに似ていて
やっぱり伝統的な京都って感じです(?)
円山応挙の説明や日野富子は怖かったなどの説明がつづきますが、
なかなかおひなさまに到達しません。
ガイドを聞いたご褒美のように
ようやく最後に拝むことができました。
今回展示されていたおひなさまは、
直衣姿の有職雛で、光格天皇から下賜された由緒あるもの。
女性は眉を残しており、濃紫袴をはいているので若いとのこと。
つまり若いお姿のおひなさまということになります。
御道具は天皇家の菊と宝鏡寺の菊の梅鉢が金蒔絵で散らされています。
その他孝明天皇から下賜された孝明さんというニックネームの御所人形、
表情が豊かな万勢伊、おたけさん、おとらさんの御所人形も展示されていました。


二つ連続でおひなさまを見たので、
ここで少し気分転換。
バスで河原町丸太町に出て、今度は古本屋めぐり。
まずは丸太町の通り沿いからスタート。
最初に入った店からし
本がぎっしり積み上げられていて圧倒されます。
何か景気づけに買わないと、
昨日のように買えなくなりそうなので、
三軒目で村木与四郎の映画美術を購入。

村木与四郎の映画美術―「聞き書き」黒沢映画のデザイン

村木与四郎の映画美術―「聞き書き」黒沢映画のデザイン

村木与四郎は以前東京の忘れものを
東京の忘れもの―黒沢映画の美術監督が描いた昭和

東京の忘れもの―黒沢映画の美術監督が描いた昭和

読んで以来興味がありました。
やれやれと1万円札を出して購入しようとすると、
おつりがないとのこと。
細かいお金を寄せ集めてみましたが、
150円くらい足りません。
そこでおまけしてもらいました。
今度は河原町通りに戻り、
昼食をはさみ数軒みてまわりました。
そのうちの1軒で、
御園京平さんの活辯時代を購入。
活辯時代 (同時代ライブラリー)

活辯時代 (同時代ライブラリー)

膨大な映画資料のコレクションである
御園コレクションに興味をもち購入しました。
この本の存在、うかつなことに全然知りませんでした。


そして、最後に京都文化博物館
京都府所蔵の人形と衣裳展」。
日本画家吉川観方のコレクションを中心に展示されていましたが、
展示の流れは京都国立博物館に似ていますが、
江戸時代、庶民向けにつくられた素朴で小型の御殿飾りである
一文雛の雛飾りは初めて実物を見ました。
また、さすが京都だけあって、台所道具、おくどさんの展示が充実しています。
ちょうど学芸員の方の展示解説会が終わりかけで、
最後の方だけ聞くことができました。
解説会のあと老夫婦が学芸員の方のもとに。
聞こえてきた話しによると、
おうちに渡辺玉翁がつくった書いてあるおひなさまがあるとのこと。
渡辺玉翁作のおひなさまは鞆浦の喫茶店に飾られているのを
以前見たことがあり、とても興味をひくお話し。
でも関係者でもないし、時間もないので、
その話しが気になりつつあわてて博物館を出て、
JR京都駅にせわしく向かうのでした。