木屋旅館は
司馬遼太郎さんもかつて泊まった宇和島市の老舗旅館。
現在は既に廃業していますが、建物は昔のままです。

その隣の喫茶店の建物も古くてなかなか味がある建物。
左が花屋さん、右が喫茶店になっていますが、
もともとは一軒の建物のようです。

茶店のコーヒーは自家焙煎で、
結構どっしりとお腹にくる味。
コーヒーを味わいつつ、
坂崎重盛さんの「秘めごと」礼賛を読む。
読んでいるなかで取り上げられていた人物は、
谷崎潤一郎永井荷風江戸川乱歩吉行淳之介石川啄木、依田学海…
いずれも曲者ぞろいです。
本の中の一節。


「秘めごと」「お忍び」「隠しごと」は、人が、
とくにオトナの男性が自らの人間性を復活させるための、
必然的な行動なのではなかろうか。


でも現代では「秘めごと」「お忍び」「隠しごと」など
もてないように管理されつくされているように思います。
仕事で拘束される時間、家族と過ごす時間以外に、
どれ程の自分の時間がもてるのでしょうか。
茶店でコーヒーを飲み、本を読む時間をもつのが精々です。
でもそれが私にとって貴重なひとときです。


茶店を出てから、少し近くをぶらつく。
昔からやっていそうな大判焼き屋さんがあって、
なんともおいしそう。
シャッターが半ば閉まったおもちゃ屋さん、
既に廃業している自転車屋さんなどもありました。
狭い路地に入ると、古そうな民家が軒を連ねています。
そんななか、建設中のマンションも目につきます。
宇和島の町も徐々に変わっていくのでしょうか。