牛肉と牛の乳の薬

一の重です。
年末年始の休みに本を読もうと、
たくさん九州の実家に持ち込みましたが、
出かけたりして、
案外本は読めないものです。
昨日も昼から近くのサンリブ小倉という
スーパーに出かけたりして。
みんなが食品売り場で買い物をしているうちに、
抜け出して、スーパー内の本屋さんへ。
スーパーの本屋さんって、
たいてい雑誌とベストセラーぐらいしか売っていなくて、
ものの5分にあきてしまいますが、
ここの本屋さんはなかなかの品揃え。
そのなかから、
文庫になったら買おうと思っていた、
嵐山光三郎氏の文人暴食

文人暴食 (新潮文庫)

文人暴食 (新潮文庫)

を買いました。
これは、
文人悪食
につぐ食による近代文学史を目指した第二弾。
文学者と食との関係もなかなか面白そうです。


それでは昨日のつづき。
山本博文氏の
江戸を楽しむ―三田村鳶魚の世界
の「江戸の食生活史」の中から。
山本氏は上層の武士の肉食について、
いのししやしかは
狩りの獲物であったため食べたかもしれないとした上で、
さらに牛肉は干肉にして薬として用いていたことを紹介しています。


幕府の書物奉行奈佐勝英の次男、
助之丞が病気で、医者が手をつくしたが、どうにもならない。
ある医者が「正真の牛肉」を使ってみたいというが、
世間に流通している牛肉は真偽が分からないので、
幕府の牛肉を下賜してほしい。


『大日本近世史料 幕府書物方日記』の
元文5年4月19日の条にこのようにあるそうです。
確かわたしたちが研究している三浦家文書の中にも、
牛肉丸という薬が出てきたように思いますが、
にわかに見つけだすことはできません。
そのかわりに、
三浦家文書のなかには
牛の肉ではなく、牛の乳の薬なら見つかりました。
それは牛の乳で煉った
はくぎふらく(白牛酪)という菓子のような薬だと書いてあります。
酒で食べる薬で、寒気をとるのに即効性があるとされています。
先日これを実際につくって食べたという人の話しを聞きましたが、
豆腐とチーズの中間のようなもので、
なかなかおいしいとのことでした。
江戸時代、牛にまつわるいろいろな薬があったことになります。