月見亭

今日から祖母の初盆でその家に詰める。道が混んでいるなか、ようやく到着。祖母が体調を崩してから何年もこの家は無住となっていたが、久しぶりにたくさんの人が集まる。夜は宴会。人数は多いとはいえ、もっていった1升瓶の地酒がこの晩だけであいてしまう。叔父からこの家が明治の終わりに建ったかなりぜいたくな作りの家だったことを聞く。小高いところに建つ家は見晴らしがよく、海風がよく吹き抜けて気持ちがよい。夜になると、家の真っ正面の山から月が昇っていく。家の裏の山、さらに高い所には月見亭もあったらしい。十条製紙の重役だった人が建てたちょっと文人趣味の家ということになる。その人には子どもがいなく、墓などの面倒を見ることを条件に曾祖父が譲り受けたらしい。酒を飲みながら、叔父から初めて家の歴史を教わる。その目の前には、まん丸の満月。