ところで、
都筑道夫さんの推理作家の出来るまで (下巻)には、
昔は普通に使っていたものが、
今では言葉でちゃんと説明しなければ
通じないジレンマも記されていました。
都筑さんはその例として床の間や違い棚をあげていますが、
それを読んでいた時に、
あるコレクターの方がもっていた
床の間のミニチュアのことを思い出しました。
許可を得て写真で紹介すると、下のようなもの。


床の間に茶箪笥、箪笥のようなものが付いています。
こういうものを調べるのは案外難しいものです。
これを三の重に見せると、
『郷土玩具図説』(村田書店・昭和9〜14年)に、
これとそっくりなものが紹介されていることを教えてもらいました。


○お座敷(その1)
あねさまごっこする女児のために出来ているお座敷です。
松の薄板で書棚、本箱、柱かけ、置物台、床の間などが出来ております。
そして紫、緑、赤、茶等多彩に粉飾されております。
立派な額や軸物などもどうやら見受けられます。


挿絵も載っていますが、
配置も内容も完全に一致します。
なお、お座敷には別のタイプがあり、
そちらはやや粗末な作風で、
右の飾り棚のかわりに本物の鏡入りの鏡台が置かれているそうです。
要するに女の子のままごとセットのようなもので、
時代は昭和初期くらいのものでしょうか。
モノを正確に理解することは難しい。
それだけに古いおもちゃといえば、
『郷土玩具図説』といったようなレファレンス本の存在は貴重です。
『郷土玩具図説』は8冊本で日本の古本屋でみると、最低15,000円はします。
とても手がとどきません。
さしあたって図書館で見るしか仕方ありません。